これからフライフィッシングをはじめるにあたってまず何を用意したらよいのか誰しも悩むところではないでしょうか?
頻繁に現れるカタカナ用語にも敷居の高さを感じる方が多いようです。
ヨーロッパやアメリカから伝わってきた釣り方なので、ある程度の横文字はご容赦願うしかないのですが、まずは難しい理屈は後回しにしてフライフィッシングにエントリーするにはどうしたら良いか、基本的な道具から考えたいと思います。
まず、フライフィッシングとは魚釣りの方法の一つです。
魚釣りであるからには釣針があり、釣針は釣糸に結ばれ、釣竿やリールを介して釣人がコントロールすることとなります。
今、あえて「コントロール」という言葉を用いたのですが、この「コントロール」こそフライフィッシングが持つ、他の釣りとは決定的に異なる醍醐味を表す一言なのです。
ではその「コントロール」の意味を理解するために、フライフィッシングと他の釣り方との比較をすることからはじめたいてみましょう。
ここでは鱒釣り(トラウトフィッシング)を例にしたいと思います。
【エサ釣りについて】
まずエサ釣りをイメージしてください。
渓流の釣りではロッド(釣竿)はリールを用いない「のべ竿」が普通ですね。その釣竿に、釣場に応じて適当な長さの道糸(ライン)を付け、その先に道糸よりも一回り細いハリス(リーダー)と針(フック)が結ばれています。
魚の当たりを取るために道糸には浮子(ウキ)か、目印をつけることが普通です。
またエサ釣では川底付近をエサが流れるようにオモリを付けます。
エサにはたくさんの種類が考えられますが、最も良いのはその川で実際に魚が食べている川虫です。川に付いたらまずエサとなる川虫を獲ることが釣りの始まりです。
実際の釣りでは川幅に応じて4~8mほどの長さの釣竿を用い、竿の届く範囲のポイントに仕掛けを振り込みます。
あとは川の流れにあわせてエサを流し、うまく魚にエサを食わせるわけです。
実にシンプルで、例え釣りをしたことが無い人であってもこの一連の動作をイメージすることは難しくないと思います。
【ルアーフィッシングについて】
次にルアーフィッシングの場合はどうでしょうか?
釣り場にもよりますが一般的には1.5~2.1mほどのルアー専用竿にリールをセットして使います。
ご存知の方も多いと思いますが、ルアー Lure とは金属、木材、プラスチックなどの素材で作られた疑似餌のことで、魚のエサとなる昆虫や小魚、小動物などを模したものはもちろん、到底魚のエサとは思えない形状の物まであります。広義においては毛鉤(フライ)もルアーの範疇と言えます。
ルアーは素材の比重によって水面に浮かぶものから沈むものまで様々ですが、基本的な使い方は一緒で、魚が潜んでいると思われるポイントへルアーを投げ入れ(キャスティング)、リールを巻いて(リーリング)釣糸(ライン)を巻き取りながらルアーを動かす/泳がすことで生命感を与え、魚の食性や好奇心、威嚇などに訴えて食いつかせます。
またルアーフィッシングもエサ釣り同様にまずはルアーを魚の潜む場所へ投げ入れねばなりません。
エサ釣りではポイント付近まで竿の長さを利用して仕掛けを届けましたが、ルアーの場合はエサ釣りの竿に比べてはるかに短い訳ですから、ルアーの重さ(自重)を利用して遠くから投げ込む必要があります。
逆の言い方をすると、遠いポイントまでルアーを投げ入れるためにはルアーそのものにある程度の重さが無くてはいけないということになります。
軽いものは飛びにくく、重いものほど遠くまで飛ぶ。これは釣りに限ったことではありませんね。
【フライフィッシングについて】
さて、いよいよフライフィッシングの番です。
フライとは一般的に水生昆虫(アクアティック・インセクト)の幼虫や成虫をイミテートした毛鉤のことです。もちろん本物ではないのでルアー同様の疑似餌ということになります。
さらに水生昆虫以外にも甲虫やバッタ、セミなどの陸生昆虫(テレストリアル・インセクト)や小魚を模した物まで豊富なバリエーションがあることもルアー同様です。
ところがルアーと見比べてみれば決定的にルアーと異なる点に気付きます。それはルアーフィッシングがルアーそのものの自重を利用してキャスティングを行ったのに対し、フライは正に毛鉤であるが故にほとんど重さがないということです。
エサ釣りの長い竿を使ってポイントの真上にそっとフライを振込みと言った方法ならできそうですが、実際のフライロッドは一般的には3m以下の長さしかありません。
ルアーロッドより長いのは確かですが、とてもエサ釣りのように極端に軽い仕掛けをポイントに届けるのは至難と思えます。
ここで登場するのがフライフィッシング専用の釣糸「フライライン」です。現在主流のフライラインはダクロンの編糸を芯材としてその周りをPVC(ポリ塩化ビニル)でコーティングされたものです。
エサ釣りやルアーフィッシング用のラインとの違いは一目瞭然で、太く重い上に派手な色の付いたものが多いです。
このフライラインとフライの関係、扱い方は小難しい理屈よりも経験的に直感で理解できるかもしれません。
軽いフライを細く軽い糸に結んでも投げることは出来ませんが、太く重い糸にフライを結べば糸の重さを利用して投げることが可能になります。
子供の頃、縄跳びのロープの一方を掴んで左右に強く振り「蛇だ!」と叫んで遊んだことがありますよね(笑)。そのロープの反対側にフライを結びつければ、ロープを強く振ることでフライを移動させることが出来るはずです。
さあ、ここまでくればもうフライキャスティングの入口に立ったようなものです。
フライロッドにフライラインを通し、先端にフライを結びます。適当にラインを引き出し、手元のラインを固定したままロッドをタイミングよく前後に振れば、きっとフライラインに引かれてフライが宙を舞い始めるはずです。
やがてフライラインが前方へ伸び切ったタイミングでラインを手放してやればフライは遠くのポイントに届き魚を誘い出してくれるでしょう。
エサ釣りやルアーフィッシングがそれぞれのエサやルアーを直接動かすのに対し、フライフィッシングではフライそのものに自重がない故に特殊なフライラインの動きをコントロールすることで、その先のフライを自由に動かすということがイメージして頂けたでしょうか?
つまりこの章の冒頭で書いた「コントロール」の意味はここに存在しています。
フライキャスティングの持つ一連の動作は他の釣りとは異なり、非常に間接的な行為と言えます。
全ての釣りの基本となる、魚の潜むポイントに正確にキャスティングするために、フライに自重がない以上フライラインを自在にコントロール出来なくてはなりません。
このラインコントロールこそがフライキャスティングそのものと言えます。
ではその自在なラインコントロールをするためにはどうしたらよいのでしょうか?
もちろん練習あるのみなのですが(笑)、自在なラインコントロールを実現するためには、まずタックルバランスが最も重要となります。
もし渓流でフライフィッシングをするなら、狭く複雑な流れの中でラインコントロールを行うための、渓流にふさわしいフライロッドの長さ、フライラインの重さが必要となります。
一方、湖でフライフィッシングを行うなら、遠投して広範囲を探るための、湖にふさわしいフライロッドの長さやフライラインの重さが必要となるでしょう。
その意味ではフライフィッシングのタックルは他の釣り方とは比較にならないほどシステマチックに連動している有機的な存在だと言えます。
目的に応じたタックルバランスこそが、フライフィッシングの第一条件であることがご理解いただけたところで、次にタックルそれぞれの要素についてかいつまんで説明していきたいと思います。
頻繁に現れるカタカナ用語にも敷居の高さを感じる方が多いようです。
ヨーロッパやアメリカから伝わってきた釣り方なので、ある程度の横文字はご容赦願うしかないのですが、まずは難しい理屈は後回しにしてフライフィッシングにエントリーするにはどうしたら良いか、基本的な道具から考えたいと思います。
まず、フライフィッシングとは魚釣りの方法の一つです。
魚釣りであるからには釣針があり、釣針は釣糸に結ばれ、釣竿やリールを介して釣人がコントロールすることとなります。
今、あえて「コントロール」という言葉を用いたのですが、この「コントロール」こそフライフィッシングが持つ、他の釣りとは決定的に異なる醍醐味を表す一言なのです。
ではその「コントロール」の意味を理解するために、フライフィッシングと他の釣り方との比較をすることからはじめたいてみましょう。
ここでは鱒釣り(トラウトフィッシング)を例にしたいと思います。
【エサ釣りについて】
まずエサ釣りをイメージしてください。
渓流の釣りではロッド(釣竿)はリールを用いない「のべ竿」が普通ですね。その釣竿に、釣場に応じて適当な長さの道糸(ライン)を付け、その先に道糸よりも一回り細いハリス(リーダー)と針(フック)が結ばれています。
魚の当たりを取るために道糸には浮子(ウキ)か、目印をつけることが普通です。
またエサ釣では川底付近をエサが流れるようにオモリを付けます。
エサにはたくさんの種類が考えられますが、最も良いのはその川で実際に魚が食べている川虫です。川に付いたらまずエサとなる川虫を獲ることが釣りの始まりです。
実際の釣りでは川幅に応じて4~8mほどの長さの釣竿を用い、竿の届く範囲のポイントに仕掛けを振り込みます。
あとは川の流れにあわせてエサを流し、うまく魚にエサを食わせるわけです。
実にシンプルで、例え釣りをしたことが無い人であってもこの一連の動作をイメージすることは難しくないと思います。
【ルアーフィッシングについて】
次にルアーフィッシングの場合はどうでしょうか?
釣り場にもよりますが一般的には1.5~2.1mほどのルアー専用竿にリールをセットして使います。
ご存知の方も多いと思いますが、ルアー Lure とは金属、木材、プラスチックなどの素材で作られた疑似餌のことで、魚のエサとなる昆虫や小魚、小動物などを模したものはもちろん、到底魚のエサとは思えない形状の物まであります。広義においては毛鉤(フライ)もルアーの範疇と言えます。
ルアーは素材の比重によって水面に浮かぶものから沈むものまで様々ですが、基本的な使い方は一緒で、魚が潜んでいると思われるポイントへルアーを投げ入れ(キャスティング)、リールを巻いて(リーリング)釣糸(ライン)を巻き取りながらルアーを動かす/泳がすことで生命感を与え、魚の食性や好奇心、威嚇などに訴えて食いつかせます。
またルアーフィッシングもエサ釣り同様にまずはルアーを魚の潜む場所へ投げ入れねばなりません。
エサ釣りではポイント付近まで竿の長さを利用して仕掛けを届けましたが、ルアーの場合はエサ釣りの竿に比べてはるかに短い訳ですから、ルアーの重さ(自重)を利用して遠くから投げ込む必要があります。
逆の言い方をすると、遠いポイントまでルアーを投げ入れるためにはルアーそのものにある程度の重さが無くてはいけないということになります。
軽いものは飛びにくく、重いものほど遠くまで飛ぶ。これは釣りに限ったことではありませんね。
【フライフィッシングについて】
さて、いよいよフライフィッシングの番です。
フライとは一般的に水生昆虫(アクアティック・インセクト)の幼虫や成虫をイミテートした毛鉤のことです。もちろん本物ではないのでルアー同様の疑似餌ということになります。
さらに水生昆虫以外にも甲虫やバッタ、セミなどの陸生昆虫(テレストリアル・インセクト)や小魚を模した物まで豊富なバリエーションがあることもルアー同様です。
ところがルアーと見比べてみれば決定的にルアーと異なる点に気付きます。それはルアーフィッシングがルアーそのものの自重を利用してキャスティングを行ったのに対し、フライは正に毛鉤であるが故にほとんど重さがないということです。
ルアーロッドより長いのは確かですが、とてもエサ釣りのように極端に軽い仕掛けをポイントに届けるのは至難と思えます。
ここで登場するのがフライフィッシング専用の釣糸「フライライン」です。現在主流のフライラインはダクロンの編糸を芯材としてその周りをPVC(ポリ塩化ビニル)でコーティングされたものです。
エサ釣りやルアーフィッシング用のラインとの違いは一目瞭然で、太く重い上に派手な色の付いたものが多いです。
このフライラインとフライの関係、扱い方は小難しい理屈よりも経験的に直感で理解できるかもしれません。
軽いフライを細く軽い糸に結んでも投げることは出来ませんが、太く重い糸にフライを結べば糸の重さを利用して投げることが可能になります。
子供の頃、縄跳びのロープの一方を掴んで左右に強く振り「蛇だ!」と叫んで遊んだことがありますよね(笑)。そのロープの反対側にフライを結びつければ、ロープを強く振ることでフライを移動させることが出来るはずです。
さあ、ここまでくればもうフライキャスティングの入口に立ったようなものです。
フライロッドにフライラインを通し、先端にフライを結びます。適当にラインを引き出し、手元のラインを固定したままロッドをタイミングよく前後に振れば、きっとフライラインに引かれてフライが宙を舞い始めるはずです。
やがてフライラインが前方へ伸び切ったタイミングでラインを手放してやればフライは遠くのポイントに届き魚を誘い出してくれるでしょう。
エサ釣りやルアーフィッシングがそれぞれのエサやルアーを直接動かすのに対し、フライフィッシングではフライそのものに自重がない故に特殊なフライラインの動きをコントロールすることで、その先のフライを自由に動かすということがイメージして頂けたでしょうか?
つまりこの章の冒頭で書いた「コントロール」の意味はここに存在しています。
フライキャスティングの持つ一連の動作は他の釣りとは異なり、非常に間接的な行為と言えます。
全ての釣りの基本となる、魚の潜むポイントに正確にキャスティングするために、フライに自重がない以上フライラインを自在にコントロール出来なくてはなりません。
このラインコントロールこそがフライキャスティングそのものと言えます。
ではその自在なラインコントロールをするためにはどうしたらよいのでしょうか?
もちろん練習あるのみなのですが(笑)、自在なラインコントロールを実現するためには、まずタックルバランスが最も重要となります。
もし渓流でフライフィッシングをするなら、狭く複雑な流れの中でラインコントロールを行うための、渓流にふさわしいフライロッドの長さ、フライラインの重さが必要となります。
一方、湖でフライフィッシングを行うなら、遠投して広範囲を探るための、湖にふさわしいフライロッドの長さやフライラインの重さが必要となるでしょう。
その意味ではフライフィッシングのタックルは他の釣り方とは比較にならないほどシステマチックに連動している有機的な存在だと言えます。
目的に応じたタックルバランスこそが、フライフィッシングの第一条件であることがご理解いただけたところで、次にタックルそれぞれの要素についてかいつまんで説明していきたいと思います。
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