2015年1月19日月曜日

ルースニング?ウキ釣りニンフをやってみよう!

インジケーターをセットしたニンフ仕掛けの持運びには、
この円形仕掛け巻きが便利だと最近気付きました(笑)。
ここまで主にドライフライを中心にフライフィッシングを考えてきましたが、「水生昆虫のライフサイクルをイメージしよう」の項目で紹介したとおり水生昆虫はその生活の大部分を文字通り水中で行っていて、当然ながら水中でも魚に捕食されています。
否、むしろ水面で捕食されるよりも、水中で我々の眼にさらされないまま魚のエサとなっている方が圧倒的に多数だと考えることの方が必然と言えるでしょう。



ここでもう一度「水生昆虫のライフサイクルをイメージしよう」で紹介したメイフライ(カゲロウ)とカディス(トビゲラ)の一生を思い出して頂きたいのですが、メイフライの場合、水中生活している間に鱒の捕食機会となりえるのは「1.幼虫(ニンフ Nymph)」期間と羽化のために水面へ上昇する「2.イマージャー(Emerger)」の状態です。
同じくカディスの場合は「1.幼虫(ラーバ Larva)」、「2.サナギ(ピューパ Pupa)」そしてメイフライ同様羽化のために水面へ上昇する「3.イマージング・ピューパ(Emerging pupa)」の状態です。

これら水中で活動し、鱒に捕食されている水生昆虫をフライで上手く再現し、鱒を釣るにはどうするべきでしょうか?
当然ですがフライを水面下へ送り込み流さなくてはいけません。そこでドライフライとは異なる2種類のフライの出番となるわけです。
一つはウェットフライ。もう一つがニンフフライです。

ここでは後者であるニンフを使った釣りについて考えてみたいと思います。
代表的なニンフフィッシングの方法が「ルースニング」です。と言っても、例えビギナーであっても管理釣り場でフライフィッシングをはじめた人はすでにあらましは理解されているでしょうが、まぁおさらいの意味でお付き合いください。
「ルースニング」というのは日本での造語だそうですが、「インジケーター・フィッシング」と言ったり「マーカー・フィッシング」などと呼ぶこともあります。
いずれも同じ意味で、リーダーに「インジケーター Strike indicator」または「マーカー」と呼ばれる目印(ウキ)を付けて沈めたフライへの魚のストライク(当り)を取る釣り方のことです。

インジケーターの種類は様々ですが、要は魚の当りを取るウキの役目ですから、昔はもっと直接的に「ウキ釣りニンフ」なんて呼んでいました。
ニンフフライを正に川虫エサに見立てた、エサ釣りの延長で「ウキ釣りニンフ」なんて呼んだわけですが、ウキ釣があれば一方で脈釣りもあるわけで、事実インジケーターを使わずにラインの動きや手元の感触で釣る方法を「脈釣りニンフ」と呼んでいました。
もっとも現在は従来の脈釣りニンフの釣りはすっかり見なくなり、その発展系とも言える「ヨーロピアン・ニンフィング」が注目を集めていますが、ここでは「ウキ釣りニンフ」の方法を紹介したいと思います。


蛇足ですが 「インジケーターはフライやリーダーの位置を確認するためのもので、当りを取ることが目的じゃないからウキ釣りではない」 と仰るコダワリ派の方もいるのですが、どんな理屈をこねても、英語でははっきりと「ストライク・インジケーター Strike indicator」と呼ぶのですから、「ウキではなくタダの目印」と言うのは屁理屈に過ぎません。
もちろんインジケーターを使わずにリーダーの動きを見て当りをとる方法もあるので、慣れたらそういう上級向きの方法も試してみると良いと思います。
特にスティルウォーター Still water(湖や大淵など静水域)のライズフィッシングにあえてニンフやソフトハックル・ウェットを使って水面下を釣る場合などは、インジケーターの存在が邪魔になることがあります。
インジケーターを外し、リーダーの動きで当りを取る、静かで熱い釣りは僕の好みでもあります!(笑) 

ちなみに魚がフッキング Hooking(針掛り)したことを「ヒット Hit」と呼びますが、当りのことは「ストライク Strike」と呼びます。
ルアーフィッシングではバイト bite(噛み付く)と呼ぶこともあるのですが、やはりストライク→ヒットという呼び方の流れが自然なように思いますが、いかがでしょうか。

【タックル一般について】
  • ロッド: 脈釣りニンフについて言えばロッドは長い方が良いのですが、ウキ釣りニンフの場合はドライフライの釣りで用いる一般的なフライロッドで構いません。釣り方のコツはインジケーターをドライフライ同様にナチュラルドリフトさせることなので、ドライフライのタックルのまま流用可能です。
  • ライン: これもドライフライ同様で構わないのですが、インジケーターの種類(空気抵抗や重さ)によっては低番手のラインウェイトではキャスティングしにくいこともあります。ビギナーはやはり5番ウェイト位の方が多少大きめのインジケーターが付いていても投げやすいと思います。ご自身のキャスティング・スキルの習熟度にあわせてお選びください。もちろん、ドライフライの釣りをしていて途中でニンフに変更すると言う場合(普通の事です)には、ドライフライのタックルにインジケーターをつけることになります。
  • リーダー: インジケーターから下の、つまり水面下に沈む長さは水深や流れの強弱によって変化します。固定式のインジケーターの場合はインジケーターより下のティペット部分をカットしたり継ぎ足したりすることになりますが、移動式のインジケーターならリーダーに手を加えることなく水中部分の長さを変更することができます。このとき注意すべきことは、実はインジケーターより上の部分の長さと言えます。フライラインからインジケーターまでの長さが長いとキャスティングがし難く、特にコントロールがつけにくくなります。ニンフフィッシングの場合はインジケーターからフライまでの距離が確実に保障されているのでドライフライほどフライラインからフライを遠ざけることに注意する必要はありません。そこでウキ釣りニンフの場合は、「ショートバット」のリーダーがお勧めです。要はインジケーター以下の水中にある部分さえナチュラルドリフトできれば良いわけですから、リーダー全体の長さは短くても関係ありません。
  • インジケーター(マーカー): フライショップに行くと様々な種類のインジケーターが販売されています。一般的なのはウレタンフォームの裏面がシール状になったものですが、およそフライフィッシング用とは思えない普通の「ウキ」も見つけることができるでしょう。またベテランのフライフィッシャーマンの中にはインジケーターを自作して使っている方も少なくありません。「ウキ釣りニンフ」におけるインジケーターの役割は文字通り「ウキ」ですから、理論的には小さな当りにも良く反応するように可能な限り小さなものの方がキャスティングのしやすさからも有利です。以下に実際に僕が使っているインジケーターを紹介します。
【お勧めインジケーター】
僕自身が使っているインジケーターは次の2つです。今まで色々なタイプを使いましたが、現在は以下のどちらかをその時の状況や気分(笑)に合わせて使い分けています。
  • 粘土タイプ: 非常に不思議な素材で、正に粘土のようなものです。適当な大きさを手にとって丸め、ガン玉オモリ(スプリットショット)の要領でリーダーにつけます。使いやすく、見やすいのですが、やや重量があるため大きなサイズで使うとややキャスティングがしにくくなります。またリーダー上を滑ってしまい、知らないうちにインジケーターの位置が変わってしまうことも欠点と言えます。
ルーン社製「バイオストライク」。
適量をちぎって丸めるだけで即製玉ウキになります。

  • ウールタイプ(オリジナル・インジケーター): フライタイイングで用いる染色したウール素材を使ったインジケーターです。大きさの割りに軽いので当りもはっきりと出るし、キャスティングもしやすいです。このインジケーターはリーダーへのセットの仕方に特徴があって、リーダーを痛めず繰り返し使え、またリーダー上を簡単に移動させることができる(水深を変えられる)ので非常に重宝しています。使っているうちに繊維の間に水がたまって沈んでしまう場合がありますが、そんなときは一度指先でギュッと絞ると浮力は回復します。実はこのインジケーターは海外のフィッシングガイドから教えられたものを参考に作ったオリジナル・プロダクトです。宜しければお試しください。


【お勧めのフライ】
基本的にはニンフフライや小さめのアトラクターフライなど何でも使うことができます。インジケーターの釣りに限ったことではないのですが、僕自身が良く使うニンフフライを紹介しておきます。

フェザントテイル・ニンフまたはBHフェザントテイル・ニンフ
フェザントテイル・ニンフはメイフライ・ニンフの基本なので、BH
(ビーズヘッド)の有無をその時々にあわせて使い分けています。
渓流でも湖でも使います。

レッドタグ
普通はニンフと言うよりウェッとフライとしてカテゴライズされますが、
非常に万能で良く釣れるフライなので、インジケーターをセットして
渓流から湖まで使うことができます。

ウーリーバガー、その他マラブー系、リーチ系フライ。
これはどちらかと言うと湖で多用されるフライです。
一般的にはシンキングラインでリトリーブする使われ方が多いですが、
もちろんウキ釣りニンフとしても効果的なパターンです。

【ポンド(管理釣り場)・湖での釣り方】
  • 魚がいる、またはいそうなポイントへキャストし、当りを待ちます。
  • ウキ下の長さ(インジケーターからフライまでの長さ)は水深やその時の魚のコンディションによってことなるので、こまめに調節して魚の活性が高いタナ(水深)を見つけることが重要です。⇒移動式のインジケーターが有利。
  • 魚の活性が高いときは、キャスト後、フライが浮き下の長さ分沈みきる前に(沈んでいる最中に)当たりが出ることもあります。インジケーターのみに集中するのでなく、その先のティペットの沈み方にも注意を払ってください。
  • キャスト後、インジケーターを浮かべて当りを待ちますが、しばらく当りがないときは少しフライラインを引張って水中のフライに動きを与えることも重要です。特にレッドタグやウーリーバガーなど柔らかく動きやすい素材のフライは「動かす」ことを意識してください。
  • トラウト(マス)フィッシングの方法としてご紹介していますが、実はこの方法はブラックバスやブルーギルの釣りでも非常に有効です。ポッパーなどのトップウォーターフライに反応しない、活性の低い時はルースニングによるバス、ブルーギル・フィッシングも試してみてください。
ロッドの先に浮かぶストライク・インジケーター。

【渓流での釣り方】
  • 既にご存知のように渓流の魚は物陰に身を潜めたり、流れの中に定位して上流から流れてくるエサを待っています。ポイントの狙い方はドライフライに準じますが、ウキ釣りニンフの場合流し方が雑になりがちなので、丁寧さを心がけてください。
  • 基本はインジケーターを目視しながらナチュラルドリフトで流すのですが、多少ならドラグがかかっても大丈夫です。ポイントを流しきってください。ドライフライのようにちょっとドラグがかかったからとすぐにピックアップする必要はありません。基本的に水中のフライはインジケーターに同期して流れますが、インジケーターに少し位ドラグがかかっても水中のティペットの弛み(スラッグ)が緩衝してくれます。
  • ウキ釣りニンフに限らず、インジケーターを用いないニンフィングやウェットフライを使う場合にも言えるのですが、なぜか水中の釣りは深く沈めることを優先して考えがちになってしまいます。しかし渓流では特に水面直下や表層を流れるフライで釣れる事が非常に多いです。無闇にオモリをつけて沈めるようなことをするのではなく、ドライフライと同じように丁寧に流すことを心がけてください。⇒オイカワやウグイを瀬で釣る時の「ふかせ釣り」のイメージに近いです。(シーズン初期はオモリを併用して底近くまで沈めることもあります。)
  • インジケーターからフライまでの、ウキ下の長さをどれくらいにするか気になるところですが、これは一概に決めることができません。湖での釣りと同様ですが、川の規模・深さ、魚のコンディションによって変わります。目安としてはそのポイントの水深の1~1.5倍程度にして釣ることが多いです。



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