2015年3月26日木曜日

脱インジケーター?ソイヤー的、或いはサイトフィッシングでのニンフィングについて

既にこのブログの中でもフェザントテイル・ニンフ(PTN)については何度も紹介していますし、フランク・ソイヤー氏によるオリジナルに近いパターンについても紹介しました。


今回はニンフフライそのものでなく、そのニンフを使った釣り方/流し方について紹介したいと思います。

まずニンフを使った釣り方と言うと、多くの方が最初に思い浮かべるのがストライク・インジケーターを用いたルースニングの方法ではないでしょうか。
実際、ルースニングはインジケーター(マーカー)があるおかげで水中を流すニンフでありながらその位置が推測しやすく、また当りの判断もしやすい、非常に効果的なシステムです。

普通、フライフィッシングをはじめるとドライフライの釣りから慣れ親しむでしょうから、その延長で、つまりインジケーターを頼りにナチュラルドリフトだけでニンフの釣りをできると言うのはビギナーにとっては非常にありがたいといえます。

ストライク・インジケーターを使ったルースニングの釣りは非常に効果的です。
しかしその便利さに溺れてしまうと、ニンフィングの幅が狭まってしまうのも事実です。

しかし僕自身はこれだけではある種の物足りなさを感じてしまうのも事実なんですネ。
「フライフィッシングとはドライフライであり、ドライフライの釣りとはナチュラルドリフトが全て」と(それはそれである種の本質的な主張ではありますが・・・)そんなステレオタイプが全ての釣り方を支配してしまうようで、それでは本来フライフィッシングが持っている多様で自由な釣り方が実践できないのではないか、と思ってしまうわけです。考えすぎかな?(笑)

まぁ、偏屈な前置きはさておきPTNの流し方について進めてみましょう。
まずPTNは既に何度も紹介した通り南イングランドの川で非常に好まれて来ました。
テスト川 River Test、イッチェン川 River Itchen そしてエーボン川 River Avon などがそれを代表する有名な川で、特徴としてはチョークストリーム(石灰質の地盤を流れる川 Chalk stream)そしてスプリングクリーク(湧水の川 Spring creek)という一年を通して水温や水量の増減が少ない安定した流れだと言えます。
また日本の一般的な渓流のように落差の大きな川と言うよりも、割と平坦で牧草地を流れる厚みのある流れとでもいうのでしょうか、それゆえ魚やライズが発見しやすいと言えます。
したがって釣り方は必然的にライズ絡みのサイトフィッシングがメインとなります。

英国のチョークストリーム・・・ではなくて桂川忍野です!(笑)
日本を代表するフライフィッシングのメッカにして、富士の湧水を集めたスプリングクリークです。
当然ここでも流れに定位してライズするトラウトをサイトフィッシングで狙うアングラーが集います。

蛇足ですが、予め魚を見つけた上でその魚を狙って釣る方法を「サイトフィッシング Sight fishing」と呼び、逆にどこにいるか分からない姿の見えない魚を釣る方法を「ブラインドフィッシング Blind fishing」と呼びます。
前述の南イングランドの川で釣り人たちの多くは、ドライフライによるサイトフィッシングこそ最高の釣りと信じる方も多いと聞きます(日本のフライフィッシャーマンにも多いですネ)。

それらサイトフィッシング、ドライフライフィッシングの聖地と称される川では当然完璧なナチュラルドリフトが実践されているといいます。
しかしドライフライで釣ることができないときの切り札の一つが「フェザントテイル・ニンフ」だと言われていますので、以下に幾つかの流し方を紹介します。

①ナチュラルドリフト Natural drift or dead drift
まずはドライフライ同様のナチュラルドリフトです。(同じ意味でデッドドリフトと呼ぶ場合もあります。)
これは基本です。
ただしサイトフィッシングでは直接狙う魚を特定した上でフライを流すので、普通ストライク・インジケーターはつけません。
フライそのものが見えなくても、狙った場所にキャスティングし、狙ったレーン(流れの筋)にフライを流せればフライのおおよその位置は分かるので、魚の反応を見てフッキングさせることは可能です。
ドライフライのみに慣れてしまうと、見えるか見えないかでしかフライの存在を確認できなくなってしまう方が多いのですが、前述の基本的なフィッシングスキルと感覚を研ぎ澄ませることで、フライが見えなくても「感じて」当りを取ることができるようになります。
言葉だけで説明すると、魔法でも使っているように思えるかもしれませんが、それほど難しいことではありません。ちょっとした「慣れ」が必要なだけです。

もちろんこれはニンフに限ったことではなくて、#20以下のミッジング(ミッジサイズのフライを使った釣り)ではドライフライでも流れの中では見えないことが多いです。
そんなときはフライが流れているであろう付近をボンヤリと眺めながら、ストライク(当り)を感じることになります。
パシャッと水面に飛沫をあげるストライクはもちろん、スッとリーダーが引き込まれたり、或いは流れるフライやリーダーに特に変わりはないけれどちょっとした違和感があるなど、見えない中にストライクを感じる慣れが必要になります。

②誘い Induced take
これはエサ釣りで、いわゆる「誘いをかける」のと全く同じ方法です。
まずは正確なキャストとナチュラルドリフトをすることは一緒なのですが、狙う魚の目の前で少しだけラインを止めて、或いは引っ張ったりロッドを立てることで水中を流れるフライを浮かび上がらせます。
つまり自然に上流から流れてきたエサ(フライ)が魚の前で「逃げる」様子や「ハッチのために水面に向かって泳ぐ(上昇する)」様子を演出する、正に「誘い」のテクニックです。
これはただ自然に流れてくるエサに反応しないスレたトラウトをサイトフィッシングで狙う必須テクニックとも言われます。

ここでもちょっと脇道にそれますが、「ルースニング?ウキ釣りニンフをやってみよう!」の中で、渓流では「多少ドラグがかかっても良いから・・・」と釣り方を紹介しています。
これはストライク・インジケーターとフライの間のティペットが多少のドラグなら緩衝するということのほかに、ニンフの場合は「ドラグ⇒フライの動きの変化=誘い」と作用することがある、と言う意味でもあります。
また「ライズがドライフライとは限らない!?」の中では「フライ先行で後からストライク・インジケーターが流れるようにすればはっきり当りがでる」と書いています。
これもフライが流される中でインジケーターを起点にして、それと知らずに「誘い」が行われることがあるからに他なりません。
日本の一般的な渓流は、南イングランドの例と異なり流れに落差があり複雑です。また強い流れの中ではサイトフィッシングでなく、ブラインドで釣り上がることが多くなります。
だからこそナチュラルドリフトを心がける中でオートマティックに「誘い」が生じるインジケーター・フィッシングが効果的なのだとも言えます。

渓流でルースニングをする際、この「誘い」のことを頭の片隅においてみてください。
ナチュラルドリフトでもオートマティックな誘いは行われていますが、ここぞと思うポイントでは意識的にフライに変化を与えてみたらどうでしょうか?
もし自分のタイミングでフライを「操作/演出」した上でトラウトを釣ることができたら、その感動は一回り大きく膨らむに違いありません!

③ダウン・アンド・アクロス
この方法は一般的にはウェットフライを使うときの方法ですがPTNを使っても効果的なことが多々あります。
流れに正対して斜め45度下流対岸へ向かってキャストします。フライが着水したらフライラインを左手(右利きの場合)でホールドしたまま流すと、フライは若干下流側へ膨らみながら扇状に川を横切るように流れます。
必要に応じてメンディングをするのですが、上記②とは逆の方法での誘いも効果的です。
つまり流れの中、フライを川を横切るように泳がせるレーンの途中に魚が確認できている場合、魚の目の前をフライが横切る瞬間、ロッドを倒してフライを送り込んでやるようにします。
それまで流れのテンションを受けて目の前を泳ぎきるようにしていたエサ(フライ)が、魚の目の前で流れに負けてバランスを崩し流されてしまうようにするのです。
②の誘いとは逆の動きでスレた魚に口を使わせる方法です。


以上、サイトフィッシングでのニンフィングについて3つの方法を紹介しました。
いかがでしょうか、文字ばかり多くて特にビギナーの方にはイメージが湧かないことも多いかと思います。
説明が下手なのは僕の力量不足で申し訳ないところですが、釣り方の「キモ」を一言で要約すると「メリハリ」となるでしょうか。
いずれの釣り方にしてもまずはきちんとポイントにキャスティングし、しっかりとナチュラルドリフトすることが基本です。
ナチュラルドリフトができているからこそ、意図してドラグを掛けたときにフライが水面へ上昇する動きを見せるわけです。
或いはダウン・アンド・アクロスではしっかりと流れを横切り泳いでいるからこそ、フライを送り込んで誘うことができるわけです。

この「メリハリ」の基本を理解した上で、あとは様々な流れでのニンフィングに応用させてみてください。
②の説明でも触れましたが、何が何でもこの方法にこだわることはないですよね。
インジケーターが好みなら、それを使えば良いわけです。ただし、その時ポイントに応じて「誘い」を意識してみてください。
ニンフィングの面白さが一歩深まること間違い無しです!


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