2014年5月19日月曜日

ナチュラルドリフト?ドラグフリーって何だ?初夏、細かなスポットを釣りながら

ここでは先日、里川の小渓流にてドライフライでヤマメを釣った時の状況を例に(忘れないうちに、笑)僕なりに解説してみたいと思います。
釣行時のレポートはこちらのページをご覧ください。
一緒に読んで頂くとイメージが伝わりやすいかも知れません。
また、後半に渓流釣りの「キモ」とも言えるキーワード「ナチュラルドリフト」について説明したいと思います。


この川は里川であって山奥の山岳渓流とは異なります。
川は概ね西から東へと流れ、右岸(下流に向かって右側の岸)は山が続きますが左岸は田畑が疎らに作られています。
つまり流れの南側に山があるため里川にしては比較的日陰が多い流れだと言えます。
釣りをしたエリアの川幅は概ね2~3m。
水深も20cm程度が多く、場所によっては50cmくらい。
日本の渓流の常で、流れは堰堤によって細かく分断されていて、堰堤の下はそれより深い場所もあります。

この日の天気は快晴。昼間の最高気温は22℃でした。
釣りはじめたのは9:00。このときの気温はまだ10℃前後だったと思います。長袖シャツでもひんやりとしていました。
そしてこのヤマメを釣ったのは9:50頃です。
釣りはじめた場所からのんびりと釣り上がり、最初の堰堤が見えてきたところです。
写真でも右岸(向かって左)が鬱蒼とした茂みになっているのが分かると思います。前述の通り左岸はそれとは対照的に開けています。
ここへ来るまでに確認したハッチはユスリカと小さなカゲロウでした。
使っているフライは#16のスタンダードなメイフライです。
もしライズが確認できたのなら、大まかにそのライズの対象を分類するとフライの選択が楽になります。(「ライズフィッシングとドライフライの選び方」を参考に。)


ヒットがあったのは、ポイントとも呼べないような小さなポイントです。
ヒットポイントの奥、堰堤からここまでの間にある流れの方が、余程釣れそうな流れと言えます。

ちょっと話が脇にそれますが、ビギナーの方(に限らずですが・・・僕も良くやります、汗)が良く失敗するのは、それら美味しいポイントの前に小さなポイントを荒らしてしまって、そのことで手前の魚が散って奥のポイントの魚まで警戒させてしまうことです。ご注意を。

まず奥の本命ポイントを釣る前に、手前の流れをチェックすることにしました。
真ん中に大きな岩が幾つか並んでいて、それに遮られる形で流れが左右に分かれています。
分かれた流れの筋は大体同じような性格に見えます。水中の岩の感じも大体一緒です。
まぁどちらから流しても良いのですが、この時は向かって右から探りました。
流れ中央の岩の脇でちょっとした落ち込みになっているあたりにフライをキャストし、ドラグフリーで可能な限り長く流します。
はっきりとしたポイントが分からない、こういったダラダラした(?)平易な流れで、その割りに水面下に魚が潜む場所が多い場合は、どこから魚が出るか予測が難しいのでなるべく長くフライをドラグフリーで流すことが肝心です。

この写真で見ると、やはり素通りして奥のポイントを攻めたくなりますよね?(笑)
しかし本命と思しきポイントは常に多くの釣り人に攻められています。
釣り人の多い川こそ地味なポイントを丁寧に釣ることが重要です。

魚がヒットしたのは3投目くらいだったでしょうか。
やはり水中の隠れ岩の間から飛び出すようにストライクがありました。

この魚をリリースした後、当然奥の本命と思われるポイントも探ったのですが、残念ながらヒットはありませんでした。
この後、お昼を挟んで14:00まで釣りをしたのですが(終わるの早っ、笑)、昼食後にニジマスを一尾追加しました。
実はそのニジマスが釣れたポイントは上の本命ポイントに似たような流れでした。

ちなみに今回は堰堤直下の深みはほとんど探っていません。
変化に乏しい里川ゆえに、こういう深みのポイントは必ずエサ釣り師に攻められているはずですし、フライフィッシングでもニンフを用いるのが常套手段ですが、僕はこの川のように浅く狭い流れを釣る時にはニンフを用いることはほとんどありません(好みの問題です)。

たった2匹ですから結論付けるのはどうかと思いますが、ヤマメを釣った午前中の時間帯はまだ水温が低く、流れの早い場所にはいなかったのかもしれませんね。
そういう意味でも、特にここ東京圏の里川のように相対的に魚の少ない川では丁寧な釣りが要求されると言えます。

【フラットな流れを釣る際のポイント】
川の規模に関わらず、水面上に変化が少なく流れが比較的緩やかなポイントでは可能な限り長くフライを流すことが大切です。
特に水面下に岩が並んでいたり、水草が繁茂しているような魚の隠れ場所が多い流れではどこから魚が飛び出すか分からないので、ドライフライの場合、ドラグフリーの状態をどれくらい長く保てるかが重要となります。
今回ヤマメを釣ったポイントも水面上で確認できる変化しか見ていないと、流れの中央の水面上に出た岩の周りを流してすぐフライをピックアップしてしまいがちですが、緩やかな流れほど水面下に注意を払い、流れの筋を読んでなるべく長くフライをトレースさせましょう。

【ドラグ、ドラグフリー、ナチュラルドリフトとは?】
渓流釣りの場合、流れにドライフライをキャストして「自然に」流すことが基本となるのですが、この時当然ながらフライと一緒にラインやリーダーも流されることになります。
ライン・リーダーがフライと同じ速度で流されるのであれば問題ないのですが、実際はフライラインの方が水の抵抗を多く受け、またフライを流す流れの筋とは異なる筋にフライラインが流れたり渦に巻き込まれたりすると、フライラインが流れに引っ張られることで、水面で「自然に」流れているべきフライを引っ張ってしまうことがあります。
このようにフライが「不自然に」フライラインに引っ張られて動いてしまうことを「ドラグ」或いは「ドラグかかかった」と言います。
つまり、「ドラグフリー」とはフライラインやリーダーによる干渉を受けずにフライが「自然に」流される状態のことです。
したがってドライフライの基本はドラグフリーで自然に流すこと、と言うわけです。
このドラグフリーでフライが流れる状態を「ナチュラルドリフト」とも呼びます。

一方、基本があれば例外もある訳で、例えばイブニングライズである種類のライズを釣るときなどは、流れの中でドライフライをわざと引っ張って魚を誘うこともあります。
この多様さ、複雑さ・・・、ビギナーの方は混乱すること必至ですが、全てを一度に理解することなんて不可能です。
一つ一つ経験し、より多くの困難をお愉しみください!

週末の渓流、魚に翻弄される一日。
肩を落とす帰り道。
租借し思考する脳みそ。
その先に立ち現れる翌週末へ向かう希望。
これこそフライフィッシングの悦びだ!

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