2015年3月13日金曜日

4-04. リーダーシステムをもっと詳しく

さて2015年の渓流シーズンもはじまったのでリーダーについてもう一度ビギナーの皆さん向けにまとめてみようと思います。



【リーダーにもテーパーがある】

まずは「1-05. リーダー&ティペットについて」の復習になりますが、リーダーの名称と役割を明らかにしておきたいと思います。
フライキャスティングはロッドワーク(フライロッドの操作)によってフライラインにパワーを伝え、ラインループを作ることでフライライン及びその先端のフライを遠く離れたポイントまで運ぶ一連の行為・動作です。
フライラインは力を伝えやすくするためにラインウェイトに応じた太さと重さを持っています。その太さゆえにフライを直接ラインに結ぶことはできませんから、フライラインとフライとの間にリーダーが介されることになります。
太く目立つフライラインと先端のフライとの距離は、魚を驚かせないためには長いほど良いということになりますが、長すぎると今度はフライラインを伝わるパワーが上手くフライまで伝達されずにキャスティングが難しくなります。
そこで力の伝達がしやすいように、フライライン同様、リーダーにもテーパーがつけられています。

【テーパーリーダー各部の名称】

フライラインに接続するリーダーの最も太い部分を「バット」と呼び、徐々に細くなる中間部を「テーパー」、その先の最も細く均一な太さになった部分を「ティペット」と呼ぶことはすでに述べた通りです(「1-05. リーダー&ティペットについて」)。

フライラインの力を無駄なくリーダーに伝えるためには、理想的にはフライラインの直径と同じ太さがリーダーのバットに求められることになりますが、実際にはフライラインの直径に対して60~90%程度の太さが多いでしょうか。
テーパー部においては、テーパーの度合いがきついものから緩いものまで様々な種類が売られています。
特にテーパーがきついものは「ヘビーテーパー」と呼ばれ、空気抵抗の大きなフライや重いフライをキャスティングする際に重宝します。
ティペット部はフライを自由に流す(ナチュラルドリフト)ためには細く長いものが求められます。

フライラインやリーダーのバットやテーパー部分は、既にご理解いただけているようにキャスティングに必要な「太さ」を持っているが故に流れの抵抗を強く受けフライよりも早く引っ張られてしまいますが、ティペット部分が細く長ければこの影響をフライに与えずに済みます。
したがって特に渓流でドライフライを使うときはティペット部の長いリーダーシステム「ロングティペット・リーダー」が一般的です。
ただし長い方が有利なのはフライをナチュラルドリフトさせる場合であって、キャスティングの時は全く逆になります。長すぎるティペット及びリーダーシステムはキャスティング時の力の伝達が困難になるため、フライキャスティングの核心であるラインコントロールができなくなってしまいます。
近年、リーダーシステムはどんどん細く長くなっていく傾向にありますが、ピンスポットに正確なキャスティングがしたい場合は9フィート程度の短いものを、広くフラットな流れを釣る場合は12フィート程度の長さを、まずは自在に操れるようになることが上達への近道です。

【リーダー及びティペットの単位はなぜか「X]表記】

リーダーの太さの規格は最も細いティペット部の太さを基準としています。この規格はティペットの直径をインチ計測し、0.11インチを「0X」とし、0.01インチずつ変化します。「X(エックス)」の数が大きくなるにつれて直径は細くなります。
メーカーや銘柄によって多少のばらつきはありますが、以下の表を参考にご自身のフライフィッシングの対象魚やフィールドの状況と照らし合わせてみてください。


リーダーの太さについてはフライサイズとの関係も重要です。
例えば大きく重いフライをキャスティングするためには太いリーダーシステムが必要となります。細すぎるとフライの自重がリーダーを伝わるキャスティングの力に勝って綺麗なループとならずに途中で落下してしまいます。
もちろんフライに対してリーダーが太すぎる場合は、フライが着水すつと気に強く水面を叩いてしまい、また当然フライの動きも悪くなります。
繰り返しで恐縮ですが、フライフィッシングはフライロッド、フライライン、リーダー(+ティペット)さらにフライまでが最も有機的に関係し合う釣りの方法です。

リーダーシステムの重要性はご理解いただけたかと思いますが、その選択の際は釣ろうとする対象魚、釣り方、ラインウェイト、フライの大きさ、フィールドの状況などを考慮して選んでください。

【基本となるリーダーの長さについて】

1.ドライフライフィッシング Dry fly fishing

ドライフライフィッシングの場合ティペットがより細い方が良いので、やや硬めのナイロンリーダーが良いでしょう。その方がフライを真っ直ぐにキャスティングする助けとなります。
太くて目立つフライラインからフライをなるべく遠ざけるために12~15フィートの長さのリーダーがお勧めです。大きく育った賢い魚やフィッシングプレッシャーの高い場所では常に長いリーダーが必要となります。
ただし長いリーダーを扱う際、キャスティングそのものに支障が出ない範囲であることが前提条件となります。思い通りのポイントへキャスティングできなければいくら長いリーダーを使ったところで意味が無いので、ビギナーの場合はまず9~12フィートの長さのリーダーを扱えるようにしましょう。

リーダーの太さについてですが、渓流であればドライフライでもニンフでも5Xを基本として、16番フック以下であれば6X、20番フック以下で7Xとすれば良いでしょう。

正確なキャスティングとナチュラルドリフトが決め手のドライフライ・フィッシング。

2.ニンフフィッシング Nymph fishing

ニンフフィッシングでのリーダーは9~12フィートの長さが一般的です。特に神経質になっていないトラウトなら9フィートの長さで十分です。
ジン・クリアと呼ばれる非常に透明な水や渇水期の流れでは12フィートほどが良いでしょう。
スレて神経質になっているトラウトに対してはただリーダーを長くするだけでなく、水中のどの層(深さ)を流すかが重要となります。
特にストライク・インジケーターを用いたルースニングでは重要なことはインジケーターとフライの間隔であって、リーダー全体の長さは2次的な問題に過ぎません。
狙った深さ・ポイントにニンフを流せるのであれば、リーダー全体の長さは短い方がトラブルも少なくて良いと言えます。

ニンフ・フィッシングの基本はドライフライと一緒。
ストライク・インジケーターを用いるルースニングではキャスティング
しにくいこともあるのでやや短めのリーダーが良いかもしれません。

3.ウェットフライフィッシング Wet fly fishing

ソフトハックルを流す時は9~12フィートの長さでドライフライ同様にナチュラルドリフトをさせたり、流れをスイングさせるダウン・アンド・アクロスの方法が一般的です。
クイルウィングを持つクラシカルなウェットフライを用いてより積極的に誘いをかけて釣る場合であれば、フライを操作しやすいように渓流では9フィート以下の短いリーダーが好まれます。(次のストリーマーフィッシングも参考にしてください。)
この場合、ティペットを細くするメリットはあまり無いのでドライフライの場合よりも太くするべきです。
一番細い場合でも4Xと考えて良いでしょう。


瀬の中の大石周りをウェットフライで丁寧に探って釣った納得の一尾。
流れの中でフライを操作するためには太く短いリーダーが適しています。
ドラグフリーでドライフライを流す釣りとは正反対と言えるかも知れません。

4.ストリーマーフィッシング Streamer fishing

①シンクティップ、インターミディエイトまたはシンキング・フライラインを使う場合
4.5フィート以下の非常に短いリーダーがお勧めです。
例えば9フィートほどもある長いリーダーを使った場合、フライラインのみがリーダーよりも深い層を流れてフライは表層を漂うのみ、となってしまう場合があります。
フライラインの深度に合わせてしっかりとフライを水中で泳がせるためにショートリーダーがお勧めです。
3~4フィートといった極端に短いリーダーを使う場合、僕自身はテーパーリーダーにはこだわらないことが多いです。
1X~3Xくらいのナイロン・ティペットを直接フライラインにつなげて使います。

②フローティングフライラインを使う場合
フライラインが水中に沈まないフローティングタイプであるなら、考え方は逆となります。7.5~9フィート程度の長さのリーダーを選ぶべきでしょう。
フライは自重で沈み、フローティングフライラインとは離れて自在に泳ぐことになるでしょう。もちろん長すぎるリーダーは不要です。

シンクティップシステム(フローティングフライライン+シンキングリーダー+ナイロンティペット)
で釣ったライス・レイク(カナダ)のクラッピー。ボートから岸沿いのカケアガリを狙いました。

*以上は渓流でのリーダーの長さの目安ですが、当然川の規模によってもリーダーの長さは若干のアレンジが必要になるでしょうし、何よりもあなた自身のキャスティング・スキルに応じて選ぶことが必要です。
一般的に、もしトラウトがスレてナーバスな状態になっているならティペットを付け足してください。またキャスティングが上手くいかずフライが狙った場所へ落ちないようならティペットをカットして短くしてください。

5.ウォームウォーター・フライフィッシング Warm water fly fishing

トラウトのように冷水性の魚に対して、温水性の例えばブラックバスやブルーギルなどをフライフィッシングで釣る場合「ウォームウォーター・フライフィッシング」と呼びます。

もしシンクティップ・フライラインを使って湖のボトム付近を狙うのであれば、6フィートほどのリーダーがお勧めです。
フローティングラインでディアヘア・フロッグ(バスバグ)やポッパーを使うのであれば、フライラインからより離れた位置でフライを操作するために9フィートほどのリーダーを用いることもあります。
しかしバス用のフライはトラウト用のドライフライに比べ大きく自重もあるため、キャスティングしにくい側面があります。その場合やはり短めのリーダーの方がキャスティングがしやすくなると覚えて置いてください。

ブラックバスを狙うときは、普通フライラインやリーダーの影響はあまり気にしません。
ポッパーなど大きく重いフライには太く短いリーダーがキャスティングしやすく、お勧めです。

6.ソルトウォーター・ボートフィッシング Saltwater boat fishing

考え方としては「5.ウォームウォーター・フライフィッシング」に準じ、一回りパワーアップさせるイメージです。
狙うレンジ(深さ)にあわせてリーダーの長さは6~9フィートを標準と考えれば良いと思います。

カヤックフィッシングでシーバス(スズキ)を狙う。
東京湾の干潟、シャロー・フラットはカヤックフィッシングの独壇場?!

7.ソルトウォーター・ウェーディングフィッシング Saltwater wading fishing

沖縄や八重山諸島へ旅行へ行くなら是非ビーチやリーフで手軽なフライフィッシングを楽しんで欲しいと思います。
ウェーディングして魚を見つけるサイトフィッシングがお勧めですが、ブラインドで適当に投げても何かしら釣れてくれるものです。
浅い海を想定しているので、フライラインはフローティングもしくはインターミディエイト、リーダーの長さは9フィートを目安にしてください。

八重山諸島を旅したときのスナップ。
白く輝くビーチではトレバリーの仲間が良く釣れました。

もしクリスマスアイランドやフロリダ、キューバ、ベネズエラなど海外でボーンフィッシュやパーミットを本格的に狙うのであれば、一般的には12フィートの長さのリーダーが必要となるでしょう。
魚の活性やスレ具合によっては15フィートが必要かもしれません。決して10フィート以下とはならないのでアキュラシーの高いロングキャストが必須と考えてください。
キャスティングスキルと魚を発見する良い目、さらに静かなストーキングの技術がこの釣りを成功させるコツと言えるでしょう。

ちなみに僕自身は海外の本格的なソルトウォーターフィッシングをしたことが無いので突っ込んだアドバイスはできません(苦笑)。
カリブ海辺りでは、ボーンフィッシュとパーミット、そしてターポンの3種を釣ることを「グランドスラム」と呼ぶそうです。
僕はいずれもまだ見た事もありませんが、八重山諸島を旅したときにGT(ジャイアント・トレバリー、ロウニンアジ)、ギンガメアジ、カスミアジの3大トレバリー(の幼魚!)をフライで釣ったことがあります。
今のところ、これが僕のグランドスラムです♪

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