ビギナーの方に聞かれる質問で一番多いのはロッドについてで、次に多いのがどのフライを使ったらよいかと言うものです。
フライショップに行っても、ネットで調べても、目に入るのは鮮やかな多種多様のフライのオンパレード。。。悩むのも無理はありません。
すでにこのブログ上に載せている「ハウツー・フライフィッシング!」の中でビギナー向けに幾つかのフライを紹介していますが(「1-06. ビギナー向けの実践的なフライは?」)、その中でも「どれか1本!」と言われれば・・・まずは「エルクヘアカディス」となるでしょうか。
エルクヘアカディスと、右はそれを巻いたあとのエルクヘアの毛皮パッチ。 |
そして「エルクヘア」とは鹿の仲間である「エルク」の毛を使っていることを意味しています。
つまりエルクをウィングに用いたカディスのイミテーションフライが「エルクヘアカディス」ということになります。
ちなみにエルク以外の獣毛を用いることもあるので、単に「ヘアカディス」と呼ぶこともあります。
カディス(トビケラ)。 他の水生昆虫と同様、色・形・大きさとも様々です。 |
また蛇足ですが、カディスフライのパターンにはウィングに獣毛でなく、コック・デ・レオン(スペイン、レオン産のニワトリ)などしなやかで独特の模様と艶のあるハックルを用いたパターンなどもあります。
そしてヘアカディスはその「シンプルさ」ゆえに数多くのバリエーションがあります。
フライタイヤーそれぞれの経験やこだわりが反映されるわけですから、バリエーションの多さは当然かもしれませんね。
左は僕が通常巻いている「エルクヘアカディス」。 右はその最も簡易的なヘアカディスで、ボディもボディハックルも無し。 |
ある人はウィングは長めが良いといい、別の人は短めが良いという。
ある人はハックルは必要無いといい、別の人はダビングボディこそがオリジナルのスタイルだという。
非常に興味深いですネ。
エルクヘアカディスで釣った北陸のイワナ。 |
当パドルフリークスにて提供している「エルクヘアカディス」は、ウィングにエルクヘア(ブリーチド)、ボディにピーコックハール、そしてボディハックルを供えたスタイルを採用しています。
ちなみにエルクヘアに茶色いナチュラルカラーでなく、ブリーチ(脱色)された白っぽいものを使っているのは渓流での視認性を高めるためです。
ちなみにエルクヘアに茶色いナチュラルカラーでなく、ブリーチ(脱色)された白っぽいものを使っているのは渓流での視認性を高めるためです。
こちらは最もシンプルなカディスパターン。 このフライを使って・・・ |
そしてこの「エルクヘアカディス」を特にビギナーの方へ勧める理由の一つが、非常に多くの種類の昆虫のイミテーションになり得るということです。
「カディス」というネーミングの通り、トビケラのイミテーションであることは間違いないのですが、メイフライ・ダン(亜成虫)としても通用しますし、また水生昆虫のみならず夏季以降は陸生昆虫(テレストリアル・インセクト)のイミテーションとしても活躍します。
渓流のネイティブ・イワナをキャッチ。 |
ついでに言っておきますと、ボディハックルもそのままでお使いいただいて良いのですが、よりテレストリアルらしさを強調するのであれば、ハックルのボディ下側をカットしてしまう方法もあります。
下側のハックルがなくなることで陸生昆虫の(自重が重いゆえ)半沈みで流される状態に近くなると思います。
SNさんは初めてのフライフィッシングで忍野の大物イワナをキャッチ。 もちろんフライはエルクヘアカディス。 |
渓流の強く速い流れにも負けない高い浮力と視認性の高さ、イミテートする昆虫の範囲の広さ、それらを考え合わせると、このヘアカディスと言うフライはまさに日本の渓流釣りの象徴とも言えるフライなのかもしれません。
使い込まれ、魚を釣り続けたヨレヨレのエルクヘアカディス。 |
ベテランフライフィッシャーマンの中にも、渓流の釣り上がりでまず最初に結ぶパイロットフライにはこのヘアカディスだと言う方も少なくありません。
気温も水温も高くなってきました。渓流のトラウトフィッシングはこれから最盛期を迎えます。
大型連休もあります。渓流でも湖でもトラウトフィッシングにはヘアカディスを忘れずに!
Keep casting and tight line!
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ヘアカディスはフライタイイングのビギナーにもお勧めのフライです。
タイイングに興味ある方は以下リンク先をご参照ください。
⇒「エルクヘア・カディスを巻く」(ハウツー・フライフィッシング!「5.初めてのフライタイイング編」より)
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