とはいえ、大多数の渓流は9月或いは10月中にシーズンを終了し、来春までの禁漁期が設定されています。
これはもちろん、ヤマメやイワナと言った在来渓流魚の産卵期を守ることが目的です。
秋が深まったら紅葉を愛でながらのんびり里川のオイカワ釣りが気分です。 |
蛇足ですが、ニジマスの産卵期は日本の渓流魚とは異なり春です。
ニジマスの自然産卵/再生産が日本の渓流で難しい理由はこの辺りにあるのかもしれません。(つまり産卵期の魚も釣られてしまう。)
さて、毎年渓流トラウトシーズンの終了とともにお問合せが増えるのがオイカワフィッシングについてです。
オイカワ用のフライをお買い求めいただくことはもちろん、技術的なことやポイントについての質問・・・と様々ですが、中にはオイカワ用のロッドを持っていないから躊躇していると言う方もいらっしゃるようです。
僕自身は一般的な渓流トラウト用のタックルを流用しているのですが、今回はオイカワ向けのタックルはどんなものが向いているのか簡単に検証してみたいと思います。
***
下の表は当ブログ内のハウツー「4-03. フライラインをもっと詳しく」で使っているフライラインのウェイトと対象魚との関係を表したものです。
フライフィッシングで良く釣れるオイカワのサイズは10~13cm程度ですから、強度的には最軽量タックルで良いということになります。
最近は渓流トラウト用のタックルも多様化して標準的なラインウェイトを3番とし、それ以下のフライラインの選択肢も増えました。
オイカワ用のフライラインもこれらの中から選べば良いと思います。
- オイカワ用フライラインは3番以下。1番でも2番でも好みで。(テーパーはこだわらない。DTでもWFでもOK。)
岸よりの比較的水深のあるプール(淵)は秋以降の典型的なポイント。 それでも完全な止水よりはゆっくりと流れている方が釣りやすい。 |
次にオイカワの生息環境を考えて見ます。
オイカワは河川の中流域を中心に渓流に近い上流から河口に近い下流域まで生息しています。
とは言え、大きな岩がゴロゴロしているような上流にはあまりいません。むしろ落ち込みの少ないチャラ瀬程度の清流と呼ぶ流れに群れています。
こういった場所は川の中の障害物も比較的少なく川原も開けている場所が多いです。つまり一般的なフライキャスティングの難易度は低い代わりに、風の影響を受けることが多いデメリットがあります。
風の中でのフライキャスティングということになると、やはり1番よりは2番、2番よりは3番ウェイトのフライラインの方がキャスティングしやすいということになります。
また渓流に比べて川幅も広い場合が多いため、ロッドは長い方が有利には違いありませんが、オイカワを釣るのにロングキャストは必要ないので特にこだわる必要はありません。
オイカワ釣りの場合、真剣にやっていくとロッドの長さよりもロッドアクション・・・というか、ロッドの柔らかさ、弱さの方が気になるかもしれません。
オイカワドライで釣れた、顔の表情に丸みのある雌のオイカワ。 |
少々横道に逸れますが、フライフィッシングで最も重要なのはフライロッドに間違いありませんが、フライライン(ラインウェイト)の規格が決まっているのに対してフライロッドのアクションや強度には客観的な規格はありません。
そのため同じ3番ウェイト用のフライロッドでも柔らかいものや硬いものが存在しています。
一般的に海外メーカー(特にアメリカ)のロッドは低番手でも硬いファストアクションのロッドが多いです。
これは対象魚の違いから来るもので、細い流れの中でフィッシングプレッシャーを避ける目的からラインウェイトを低くする必要があるとしても、その流れで釣れる魚が50cm以上のニジマスやブラウントラウトなどと言う例が珍しくありません。
これでは仮に同じ3番ウェイトであるとしても日本で主に20cm程度のヤマメを釣るのとはロッドの強度(硬さ)に違いがあるのは言わずもがなですね。
そのため、米国メーカーの1番ウェイト用ロッドを購入したものの、実際は3番ラインが丁度良い・・・なんてことも多々あります。
(もちろんアメリカでも主に東海岸の渓流で小さなブルックトラウトを狙うための柔らかいロッドも存在しています。)
そんな理由もあってか、近年になって幾つかの国内メーカーからオイカワ専用ロッドも発売されるようになりました。
オイカワ用のロッドで特に重要なのはティップの柔らかさと言えると思います。
ティップが硬いロッドだと、特にニンフをダウンクロスで流した際、ストライクがあっても弾いてしまって上手くフッキングに至りません。
専用ロッド以外でオイカワに向いたロッドを選ぶとすれば、最も柔らかいロッドを判断の基準として良かろうかと思います。
まぁ、冒頭の繰り返しになりますが、僕自身は一般的な渓流トラウト用の3番ウェイト用ロッドを使っています。
***
夏の婚姻色はありませんが、力強く清流に踊る雄のオイカワ。 |
最後に合せのコツについて。
ニンフをダウンクロスで流して釣る場合は、大抵向こう合わせでフッキングしてしまいますが、ドライフライをナチュラルドリフトする場合、やはりストライク(当り)に応じてしっかり合わせを行う必要があります。
この時、トラウトを釣る時と同じ要領であわせてしまうと、フッキングした瞬間オイカワが水面から飛び出して自分の後ろまで飛んでいってしまうことになります(笑)。
これは全長10cm程の小魚が相手な訳ですからさもありなん(笑)。
そうならないためには「素早く・強く・ちょっとだけ合わせる」ことが必要です。
具体的にはストライクの瞬間、手首を返すようにロッドティップをツンと上へ上げてフライラインを空中へフリップ(持ち上げる)させる感じで合わせます。
仮に「フリップ合わせ」と呼ぶことにしますが、この小さく鋭い合わせをマスターすれば、オイカワ専用ロッドでなくても魚が飛んでくるようなことはなくなります!
実はこのフリップ合わせをオイカワでマスターしておくとトラウトフィッシングでも非常に役に立つようになります。
トラウトの「マッチ・ザ・ハッチ Match the hatch」を突き詰めていくと、どうしても極小フライ(ミッジフライ)を用いたミッジングに行き着くのですが、これは使用するタックルとしてはフライを含めオイカワフィッシングそのものと言えます。
もちろんライズの対象はトラウトですが、オイカワとの最大の違いは魚の大きさですね。
つまり標準的に7X(0.4号又は2lb)、場合によっては8X(0.3号又は1.5lb)以下のティペットではるかに大きな魚を釣ることになります。
この時大合わせをしてはティペットが合わせ切れをするリスクが増大してしまいます。
つまりトラウトのミッジングにおいてもオイカワのフリップ合わせが非常に有効な技術となるのです。
是非マスターしておいてください。
僕はこれまで多摩川でコイ釣りをしていて、急にオイカワのライズにムラムラしてきて(笑)オイカワフィッシングを始める、なんてことをしたこともあります。
そのときはコイを狙っている5番ロッドでそのままオイカワを釣ってしまったのですが、フリップあわせさえできていれば5番タックルでもオイカワを投げ飛ばすことなく釣り上げることができました(笑)。
多摩川では10cm未満のサイズが多いのですが、 僕が「オイカワの川」と呼ぶ地方の里川では平均が 12~3cmとなり、より楽しむことができます。 |
なんだか話が取り留めなくなってきましたが、オイカワのフライフィッシングはとても楽しいカジュアルなフライフィッシングです。
専用ロッドで本格的にやるも良し、トラウトタックルで楽しむも良し、その気になれば5番タックルだって可能です。
まずは自分の手元にあるフライロッドを持って近所の川に出かけてみてはいかがでしょうか?
0 件のコメント:
コメントを投稿