ちょっと閑話休題。
バート・ブルース氏 ―というのが老人の名だった― は、ぼくに五キロのマスを見せてくれた。その大物は暖炉の上に飾った剥製で、まるで生きているようで、水面にきらめくロイヤル・コーチマン ―マスはそれに食いついたのが身の破滅となった― に向かってライズしていた。ラスカルを抱きあげて、このどえらいブラウン・トラウトを見せると、ちびはこの大物を誘惑した毛バリの赤いきらめきに誘われて手をのばしかけた。ぼくのあらいぐまも毛バリにひきつけられるもようだった。
(スターリング・ノース著『はるかなるわがラスカル』)
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