2014年2月20日木曜日

ライズフィッシングとドライフライの選び方

ビギナーの方から頂く質問の中に「どのフライが釣れますか?」「どのフライを使ったら良いのか分からない」と言う、フライの選び方に関するものが少なくありません。


星の数ほどあるフライの種類の中からどれを使うべきなのか、悩むこともまたフライフィッシングの大きな楽しみには違いないのですが、ビギナーが何の手掛かりもなくアテズッポウというのも色々大変かと思いますので、考え方の一助になることを願って僕なりのアドバイスを送りたいと思います。

今回はビギナーの方にも状況が比較的分かりやすいと言う点でドライフライ、特にトラウトが特定の虫にライズしている状況を仮定してフライ選びの方法を考えてみたいと思います。


「マッチ・ザ・ハッチ match the hatch」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
その時ハッチ(羽化)している水生昆虫、つまり魚が食べているであろうエサ(昆虫)にあわせてフライを選ぶ事ですが、特にライズ(水面での捕食活動)しているトラウトを釣る時には重要な考え方です。

川原に立ったら、いきなりキャスティングを始めるのではなく、
まずは静かに川の状況を観察して水面に広がるライズリングを探すこと。

実は結論的に言うと、日本でライズフィッシングを突き詰めていくと、どうしてもミッジングをしなければならなくなります。
ミッジングとは、つまりミッジ(極小)フライを使う釣りのことで、「ミッジ」と呼ばれるのは18番以下のフライ、一般的には20番フック以下のフライが用いられます。

フックサイズ/フライサイズが小さくなれば当然ティペットも細くなり、よりライトなタックルへ・・・となることは当然のことで、そのことが近年のライトタックル志向に結びついていると言えます。
つまり現在のフィッシングスタイルのトレンドがミッジングにマッチしていると言えないこともありません。

さて、そこで実際の釣りですが、ライズを前にして釣りをする時、そのライズの対象となっているエサに「色・形・大きさ」を合わせることが原則となります。
フライフィッシングの専門書を読むと、やれ「○○カゲロウ」だとか「XXトビゲラ」などと聞きなれない固有名詞ばかり出てきて辟易しますが、実際には目の前の虫の「色・形・大きさ」をチェックすれば十分です。
トラウトも恐らく虫の「名前」では判断して無いでしょうから(笑)。

僕が良く使うスタンダード・ドライフライ「スピナー」のバリエーション。
上段左:モスキート(黒系)、右:ホワイト(白系)
下段左:フェザントテイル(茶系)、右:コーチマン(テレストリアル系)

ライズを前にしたときの、僕のドライフライの選び方としてはまず色を大雑把に区別します。
「黒/グレー系」、「茶系」、「白/クリーム系」とこの程度で十分です。
カゲロウやユスリカといったどこにでもいるような昆虫は白っぽいイメージが先行しますが、実際には種類や生息環境の条件などによって他の色合いが必要なこともあります。

次に形と大きさですが、実際にはエサとなる虫そのものの形や大きさと言うよりは、どのような形/姿勢で流されているかが重要です。
ドライフライの状態(水面に浮かんでいる)に限ってみても羽化した後のカゲロウが水面高く乗るように流れているか、死んだ状態で水面に張り付いて流れているかで、形も大きさも異なって見えます。

そこで生きている状態のカゲロウが流れている場合や水面近くを飛び回っている時は、水面にフワリと乗るスタンダードタイプのドライフライを選び、水面に張り付いて流れているような場合はパラシュートタイプやエルクヘアカディスのようにペタッと水面に乗るフライを選びます。
エルクヘアカディスは名前の通りカディス(トビゲラ)のイミテーションとして使われますが、それに限定することなく色合いと大きさが合っていれば十分に他のドライフライとして流用できます。
スタンダードタイプのフライしかない場合、釣り場でフックシャンク下側のハックルをカットしてしまう方法もあります。

パラシュートタイプ(ドライフライ)のバリエーション。
上段左:モスキート(黒系)、右:ホワイト(白系)
下段左:フェザントテイル(茶系)、右:コーチマン(テレストリアル系)

そして大きさですが、カゲロウ類ならまだしもユスリカの場合本気でサイズをあわせるなると24番、26番・・・場合によっては30番以下なんてことにもなってしまいます。
キャスティングを含めてミッジングになれている方ならそれもゲームとしてありえるのかもしれませんが、とてもビギナーの方にはお勧めできません。
そこで僕は仮にエサのサイズが18番以下のミッジサイズだとしても、まずは16番程度のドライフライをお勧めします。

マッチ・ザ・ハッチの原則からは外れてしまうことになりますが、いたずらにフライサイズを小さくして無用なトラブル(特にティペットのヨレ・チヂレ、ブレイク)を増やすよりもトラウトの動きをよく観察して、そのフィーディングレーン(エサを食べている流れの筋)に丁寧にフライを流すことの方が重要だと思います。


以上、非常にシンボリックな意味合いにおいてですが、ライズフィッシングにおけるドライフライを選ぶ際の考え方を紹介してみました。
後はフィールドで得た自身の経験を反映していく事で、より自分のスタイルに合ったフライ選びができるようになるでしょう。

実際の釣りのシーンでは、ライズはあるものの対象のエサが見当たらない場合(水面直下を流れるエサを食べている)もあるし、夏になれば(気温・水温上昇に伴い)カゲロウやトビゲラ、ユスリカなどの水生昆虫(アクアティック・インセクト)でない、陸生昆虫(テレストリアル・インセクト)へのライズもあります。
それらの状況での考え方はまた機会あればご紹介したいと思います。

釣りのスタイルとしてはシンプルに見えるライズフィッシングですが、その奥行きは非常に深く、語りつくすことは到底できません。
それゆえにフライフィッシングのエッセンスが凝縮しているともいえます。

春になったらライズを探しに渓流へ出掛けましょう!


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